[K17221-FFF]
綺麗な部屋にマコトとオレとそれ以外一人いる。
「ずいぶん変わったものを拾ってきたんだね。マコト。」
マコトとオレ以外の奴が言う。
メガネっていうものを鼻にかけている黒髪の奴。
多分男。胸ないし。
マコトはオレをこいつの元に連れてくると腰を折って頭を下げた。
何をしているかわからなかったから見ていたら、男に少し笑われた。
いつも笑いを浮かべているみたい。ちょっと変な男だ。
「申し訳ありません・・・初任務で独断行動を取ってしまい・・・」
「いや、責めているわけじゃないんだ。むしろ人命救助できたことに誇りを持っていいよ。」
「ありがとうございます。」
頭をずっと下げているマコトは笑って男の方を見た。
男はずっと笑ってる。
じっと見てるとこっちを見た。
「アズ君・・・だったね。そう、ここに呼んだのは君にあることを伝えるためなんだよ。」
かがんで目線を合わせてくる。
目が細いから見えない。それに、なんだか下に見られているみたいで不愉快。
「と、いいますと・・・リディーム様が・・・?」
「まぁ、いつもの占いみたいなものかな?外れることもあるから気楽に構えてくれてかまわないよ。」
「はぁ・・・」
ちらりとマコトがこちらを見た。
目の前の男がちょっと不愉快だったからマコトの服のすそをひっぱって見る。
マコトはくしゃくしゃ頭を撫でてきた。
ちょっと安心。嫌じゃないから何も言わないでおく。
「アズ君。」
呼ばれた。
前を見ると男がまだかがんでた。
顔は笑いから真顔になっていた。
「君はこれから近いうちに『観測者』『破壊者』そして『管理者』と出会い、
君の判断が我々達の歴史を大きく変える・・・―――」
マコトが息を呑む。
オレは意味がわからない。
男はオレから目を離して立つ、また笑った。
「と、占いの結果で出たんだってね。まぁ、当たるも八卦当たらぬも八卦ってね。」
「そうですか・・・」
「まぁ、どちらにせよ我々にとって彼は貴重な人材のようだね。」
そこからもっと話してた気がする。
でも、言ってる意味がわからない。
難しくて、わからない。
マコトはそれから男に挨拶。
オレの手を引いて歩き出す。
扉付近で男がオレの名前を呼んだ。
手招きされて、マコトを見てからゆっくり近づく。
男は俺の頭を撫でて、一言三言、
「この言葉がわかるようになる時を願っているよ。」
最後の言葉はオレの耳元。
小さな声で、つぶやいた。
「 、 。」
記憶の中のその言葉はいつもわからず、聞き取れず。
思い出すこともできずにただオレの中に燻ってた。
あれから10年。
ようやくオレは理解する。
聞き取りたくはなかった、あの言葉―――
(ようこそ、魅鏡の世界へ。)
つづく
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