[K17221-00F]
―ああ、雨だ。
雨が降る。雨が。
黒い雨が地面に降り注いで『世界』を溶かしていく。
雨。
真っ黒な雨。
降りしきる雨の中を歩いた。
行かなくてはいけない。行かなければ行けない。
だって、あの場所には『あれ』がいる。
黒い塊、世界の中心に巣くうもの。
世界を喰らうもの。
―『あれ』がいる
行かなくてはいけない。
呼んでいる、呼ばれている。
「君!大丈夫か!?」
呼ばれた。はっきりわかる声。
振り向いたら、人がいた。
赤い髪、白い服、背が高い。
意味がわからず首を傾げたら、手を取られた。
そして『あれ』とは逆方向に引っ張られる。
行かなければいけないのに。
「もう大丈夫だ。君は私が助けるからな。」
顔をゆがめて笑う人。
行かなければいけないけど―――
なんだかどうでもよくなったので、
オレはその人についていくことにした。
(それが正しかったのかは、知らないけど。)
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