<第七章  神々の狂想曲>


プロローグ


城内に集まる民衆。
きっちりとした服装で皆、重々しい空気に包まれている。

右も、左も、全員同じ表情。

式が始まる。
葬式が始まる。

死体の無い葬儀、
あの世に旅立つことの出来ない者へのことば。

そんな中に秋はいた。
ネギを一本もって立っていた。

―悲しい?
―寂しい?
―嬉しい?
―楽しい?



―怖い?

今の自分の感情はわからない。
秋は握りすぎてしおれたネギを見た。

―俺様、何がしたかったんだ?
―俺様、これからどうしたいんだ?

アルギズの葬儀に出ようと思ったまではよかった。
だが、その後は考えていなかった。


―なあ、結局・・・俺様ってなんで生きてるんだ?


「双影 秋。」

名前を呼ばれた。
振り返ると、そこにいたのはあの時の緑髪の少女。
恐ろしい表情で後ろに立っていた。


過去に戻れないなんて聞いていないぞ。
お前俺様を利用したな。
なんで今更現れた。


言いたい言葉が脳裏を掠めるが、
今のこの少女はどの言葉も通じないだろうと思って黙っていた。

怒り、憎しみ、悲しみ、悪意

全部詰まった顔でこちらを睨んでいた。

「生きられておめでとう。追加注文、していいかしら。」

意味がわからなかった。

「もうアイツは死んだじゃねぇか。」

「でも、消えてない。」


―消えていない?


「今度こそ・・・絶対に残らず壊して、消して・・・そうしたら、
 過去に戻してあげる。」

緑の少女はそう言い切った。
それが嘘だということは、秋にはわかっていた。
だけど、それ以上にその注文には・・・惹かれる物があった。


「あいつは・・・まだ、いるんだな?」

「ええ。」

口端がつりあがる。
心臓が高鳴る。
気持ちが高ぶる。

まだ、終わってなどいなかった。
まだ、終わらせることはできていなかった。

それは、そう・・・その感情は、

―楽しい
―嬉しい





「わかった。詳しく聞こうじゃねぇか。」










つづく

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