<第四章 出逢う真実>


プロローグ


―運が悪いなぁ

白い青年はバツが悪そうに目の前の女性から顔を背ける。

「あなたもこの世界に来ていたんですか。」

澄んだ声が屋内に響き渡った。
そこは石を彫ってできた人が一人住める程度の大きさの部屋である

紅の髪を腰の辺りまで伸ばした美しい女性。
彼女は黒と白で統一された和服を着ていた。
声は淡々としており、大人特有の落ち着いた雰囲気がある。

「うん。まあね。」


それに対してもう話しかけられている人物は落ち着きがなく、
目を始終泳がせていた。
真っ白の髪の少年。
かつてアルギズに『白』と名乗った少年だった。

「この世界は私の『管轄』のはずですが?」

女性の方はあくまで淡々と言い切る。
本当に聞きたいだけというような話し方だった。


「だってよぉ・・・『影』が・・・」

「知っています。言い訳は結構です。」

「赤。アンタだって気に入らないんじゃないのか?」

「『あの方』は見守るように私に命じました。あとはこの世界次第です。」

赤と呼ばれた女性は、どこまでも落ち着いていた。

「青や緑にも伝えてください。この世界に余計なことはしないよう。」


くるりと赤は踵を返した。
その瞬間にふっと跡形もなく空気に溶けて消える。


残された『白』はしばらくうつむいていたが、すっと顔を上げた。

「頑固なヤローめ・・・影を救うチャンスはもう数回しかないってのに・・・」

そして決心したように呟いた。
「さて・・・」
そこからの白の呟きは消えていく。

















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