『神々の狂想曲』 <第三章 過去>


プロローグ


―今から5年前。
―天霊国の町外れの裏路地

式神界:人間とは別の空間にある。別次元。
式神:人間との契約により自身を強化できる種族
式神能力:種族や個々により差はあるものの、大抵一種類の能力を有する。
天霊:式神の一種、他の式神に比べて閉鎖的な国家を持つ。
天霊の外見:耳は尖り、目は個々の能力によってわずかに色を帯びる。
天霊国家:現在アルファ・F・ソウェルが国王、
第一位継承者=アルファの一子 アルギズ
第二位継承者=次男シエルの一子 ライ

そこまで読んで青年は資料をぐしゃりと握りつぶした。
ゲートは思ったより簡単に突破できた。
さて、これからどうすべきか・・・

青年は金髪碧眼、メガネをかけた20くらいの人間だった。
天霊国に限らず、式神界では普通見かけない存在だ。

溜息をつき、頭を回転させる。
その時、僅かに鋭い空気を裂く音が聞こえた。
ぐるりと辺りを見渡すと、少し先の広場・・・というよりゴミ置き場に子どもがいた。

そこで、コールは10歳くらいのその子どもの背格好をみて
少々眉をひそめた。

まさか、と思う。
身なりも平民そのものだし、ぼろぼろだ。
髪の毛も整えられた様子がない。
ゆっくりと近づき、様子をうかがう。
すると、気配に気付いたのか、子どもがこっちを向いた。
そして、怪訝そうな表情になる。
剣と真っ二つに割れたボールを見て、コールは合点がいった。
同時に、少々驚いた。
「そんななまくらで、切れるもんなんだな」
「・・・・・・・。」
警戒されてるのか、何も答えは返ってこなかった。
それとも自分の言語が間違っているのか・・・
いや、確か調べでは人間と天霊の言語は表記こそ全く違うが、
ほぼ同じだったはずだ。
何も言わないので、コールは言葉をつづけた。

「お前の名前、アルギズだったりするのか?」

その名前に、ぴくりと反応する子ども、アルギズ。

「そうだけど?なんで人間がこんなところにいるんだよ」
コールが予想したとおりだった。
目の前にいるのは、ここの王国の第一継承者であるはずの人物だった。

そしてこれが、

アルギズ・A・F・ソウェルと

コールのはじめての出会いだった。




つづく

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